「今度うちに猫が来ることになったんですが、ピアノに気をつけることありますか?」
調律先で猫を飼っている・これから迎えるというお宅はたくさんありますが、調律師からまず言えることは 「とにかくピアノにおしっこをさせないように気をつけてください」
ピアノの金色の部分の真鍮は猫のおしっこがかかるとものすごいサビ方をします。そうなると基本的に部品は交換。場所によってはかなり高額になることも。
鍵盤蓋のヒンジがサビて歪んでしまい閉まらなくなりました。
ヒンジをまるごと交換になりましたが、このくらいは序の口です。
グランドピアノのキャスターがこんな風に錆びてしまうことも。
(提携先の共立ラインサービスさんのInstagramからお借りしました)
他にも鍵盤の下の木まで染み込んでしまい、強烈な臭いがとれなくなったピアノもありました...
猫もピアノも負担なく共存できるように、この記事では猫に関する本を読んだ中からピアノに関係ありそうな猫の生態についてまとめています。
実際に猫を飼ったことが無いので、おすすめのグッズやうちの子はこうですよ!というのを教えて頂けると嬉しいです。
猫が暮らしやすくなるために
猫は高い場所から周囲を見回したい
猫の習性からするとちょうどよい高さのピアノに乗るのは当たり前ですね。ピアノと猫が共存できるように環境を整えていく必要があります。
猫に快適な環境はピアノと同じ
猫が快適だと思う温度は23℃〜28℃、湿度50%〜60%と、幸いなことにピアノに適した環境とかなり近いです。「猫がいるところは家の中で一番快適な場所」と言われるくらいなので、猫がピアノの部屋や近くにいるということは、ピアノにとっても良い環境と言えそうです。
家電の音に気をつける
猫は耳が良いので、ピアノに必須な加湿器や除湿機の稼働音にストレスを感じることもあります。なるべく静音性の高いものを使ったり、小さなうちから使っていることで音や存在に慣れさせることも必要です。
人-20,000Hz
犬-40,000Hz
猫-80,000Hz
なにかをしている時に限って邪魔をしてくるのは、自分も飼い主の目の前に行けばかまってもらえると思っての行動です。もしピアノを弾いているときに邪魔されて困るようであれば(ちょっとかわいそうですが)来たらその場から離れることを繰り返すと、だんだん諦めてくれてやらなくなるようです。
ピアノにダメージを与えないために
おしっこの回数は一日に2回ほど
決まったトイレでする習慣ができていれば、ピアノの上で不意にしてしまうようなことはなさそうです。(ただしオスのマーキングは別)
トイレの位置が気に入らない、砂が変わったなどのストレスがあると、トイレ以外の場所でするようになってしまうこともあるので注意が必要です。確実にトイレでしてもらうためにはトイレを常に清潔にして、いくつか形の違うトイレを用意しておいたり、して欲しくない場所の近くを食事場所にするという方法もあります。
爪とぎからピアノを守る
爪を研ぐのは使いやすく保つためと、自分の縄張りを主張するためで、身体が大きい生き物だと思わせるためになるべく高い位置に爪痕をつけようとします。
ツルツルした感触のものは爪とぎに向かないため、ピアノで爪を研いでしまうというケースはあまりありませんが、艶消しの家具調のピアノやピアノカバーはちょっと危険かもしれません。爪とぎをして欲しくないものを守るためには、目立つ場所に背の高い爪とぎタワーを設置するとそっちを使ってくれます。
抜けた猫の毛が鍵盤の隙間から入ってしまいますが、1年分くらいであればピアノに悪影響はありません。調律のときに掃除をすれば大丈夫です。
まとめ
とにかく猫にストレスを与えず快適に暮らしてもらうことが、ピアノにとっても結果的に負担が少なくなります。もちろん性格によって違うと思いますので、その子とご生活に合った対策をして頂ければと思います。
猫にとっては知らない人が家に来るというのは少なからずストレスです。調律に行くと、さーーと逃げて、ピアノの裏に隠れちゃうような子もいます(今からそこに行くんだけどね…)
猫にストレスを与えないよう、侵入者である調律師もできる限りの注意はしてお伺いしたいと思います。
今回何冊かの本を読んで、改めて勉強になりました!
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