HOME | ピアノのトリセツ | 消音ユニットってどんなもの?

消音ユニット(サイレントピアノ)ってどんなもの?
 
取りつけてから後悔しないためにも、メリットとデメリットをご確認ください

 
ピアノの音が出るしくみ、電子ピアノの音が出るしくみ


消音ユニットのことを知るためにアコースティックピアノ(以下“ピアノ”と表記)と電子ピアノ、それぞれの音の出るしくみを改めてご説明します。
 
まずはピアノの音が出るのに重要な部品は「鍵盤」「ハンマー」「弦」「響板」の4つです。
 
「鍵盤」を押すと「ハンマー」が前に進み、その先に張られている「弦」を叩きます。叩かれた弦の振動が「響板」に伝わり増幅されてピアノの音となって出てきます。
 

〈ピアノの構造を横から表した図〉

 
 
いっぽう電子ピアノの音が出るための重要な部品は「鍵盤」「センサー」「音源」「スピーカー(またはヘッドフォン)」です。
 
「鍵盤」を押すと「センサー」が動いたことを感知し、その信号があらかじめ録音されている「音源」に伝わり「スピーカー(ヘッドフォン)」から音が出ます。
 

〈電子ピアノの構造を横から表した図〉

 

 

 
ピアノに消音ユニットをとりつけると...


ピアノにサイレント機能を追加するには、いくつかの機械を取りつけます。
それが「消音バー」「センサー」「音源」「ヘッドフォン端子」です。
 
「ハンマー」と「弦」のあいだに「消音バー」という、ハンマーの動きを止める部品を取り付けます。
「消音バー」はサイレントOFFのときにはハンマーと関係ない位置にありますが、サイレントONにするとハンマーの動きを止める位置に動き、鍵盤を押してもハンマーが弦の直前で止まるようになります。
ハンマーが弦を叩かないので、ピアノ自体の音が出なくなります。
 
その状態で弾くと鍵盤の下に設置した「センサー」が感知して、録音された「音源」が「ヘッドフォン(スピーカー)」から出ます。サイレント機能をONにした状態は、ピアノが電子ピアノと同じ音の出るしくみになった状態です。
 

〈サイレントピアノの構造を横から表した図〉

 
よくある誤解で、サイレント機能を使うとそのピアノ自体の音がヘッドフォンから出てくると思われている方も多いのですが、実際はピアノに電子ピアノを組み込んでいる、いわば「ピアノ」と「電子ピアノ」のハイブリッドにする装置です。
 
それによって昼間はピアノの音を出して、夜はヘッドフォンからの電子音で弾く、と1台で切り替えができるようになります。
 

 

消音ユニットの問題点1〈タッチが変わってしまう〉


消音ユニットはピアノをアップグレードする夢の機械にも感じますが、実は問題点も結構あります。
一番は、消音バーとハンマーが干渉しないよう、タッチの調整を大きく変えないといけないことです。調整はサイレントONのとき用とOFFのとき用に瞬時に変えることはできないので、ふつうのピアノの音で弾くときにもその影響は続きます。
「レットオフ」という音のニュアンスに関わる重要な調整を大きくずらすので、強弱が反映されづらい(特にピアニッシモが出しづらい)平坦で細い音色になってしまいます。
 
「消音ユニットを付けてもピアノのタッチや音には影響ないですよ」という説明を受けることもあるようですが、実際にはタッチも音もそのピアノの100%は出せなくなってしまいます。
 
それでも電子ピアノよりはピアノに近いタッチだから...という意見もありますが、弦を叩いて音が出ることも含めてタッチもピアノらしいと言えますので、実際はあまりそのメリットはないように感じます。
 
消音ユニットの問題点2〈異音がしやすい〉


 
ピアノにたくさんの金属の部品をとりつけるため、共鳴雑音はかなりの確率で起こります。また部品の数が増えると当然、予期せぬ不具合のリスクが高くなります。
 
消音ユニットの問題点3〈メンテナンス性が悪くなる〉


 
ただでさえ細かいピアノの内部に部品を無理矢理とりつけるため、メンテナンスに手間や時間がかかり、費用が高くつきやすくなります。
 
消音ユニットの問題点4〈電子部品の寿命が短い〉


 
電子部品の寿命は10年くらいと短く、壊れたり古くなって使えなくなった場合、ムダに機械がついている状態となってしまいます。
消音ユニット付きのピアノを売却する際には、取りつけの際にピアノに穴をあけていることなどが査定上マイナスになる傾向もあります。
 
※以前は他にも、鍵盤とセンサーが直接接触する物理センサータイプだったため、そこの接触音やタッチの違和感がありましたが、最近のモデルでは非接触のセンサーが多いため、その問題は解消しています。

まずは電子ピアノのご検討を


 それでも夜間に練習したい、まわりに練習している音をあまり聞かれたくない、というご要望は多いと思います。
その場合はスペースがあれば電子ピアノをご購入してピアノとの2台持ちがおすすめです。消音ユニットをとりつけるご予算で、十分電子ピアノが買えてしまいます。
 
消音ユニットでできることは基本的には電子ピアノでできますし、壊れたり使わなくなったときに買い替え、処分もかんたんです。ほとんどの方には色々な面でメリットが大きいと思います。

サイレントピアノはこんな方に適しています


 
・追加で電子ピアノを置くスペースの確保がむずかしい
・生音で弾くことがほとんどできない環境で、少しでもピアノに近いタッチで弾きたい
・ピアノの鍵盤をMIDIキーボードとして使いたい(機器によっては不可)
・古くないヤマハのピアノ
 
とにかく最大のメリットは、ピアノの中に電子ピアノを入れるので新たにスペースがいらないことです。
デメリットと照らし合わせてメリットを感じられるようであれば、消音ユニットを取りつけるのは“あり”だと思います。
 
消音ユニットや電子ピアノにおすすめのヘッドフォン

こんな方には適していません


・そのピアノの100%の状態で弾きたい
・繊細なタッチが音に反映されてほしい
・少しの共鳴音も気になる
・電子ピアノを置くスペースが確保できる
・ヤマハ以外のピアノ、古いピアノ
 
 
当社でも消音ユニットの取り付けはおこなっておりますのですべての方におすすめできればよいのですが...すでに取りつけをされた方や、サイレントピアノをご購入した方などにこれらのご説明をすると「知っていればいらなかったかも...」ということが結構あります。
 
消音ユニットを検討されるということは、音の問題でお困りだったり心配ごとがあると思います。他の防音の手段も含めてご自身の環境に最適な方法を選んで頂ければと思います。



トリセツ一覧へ戻る