HOME | ピアノのトリセツ | 共鳴雑音を見つけてクリアな音を取り戻そう

気づいてしまうと気になる異音。ご自分で直せるかもしれません。

2021/6/20 掲載
 

ピアノを弾いているときの異音


ピアノで特定の音を弾いた時、一緒に異音が混じることがありませんか?
「ビーン」「ジー」「ビリビリ」など、出している音と同じ長さで鳴る異音です。
 
これはピアノの音に「何か」が反応して揺れていることによる「共鳴雑音」という症状です。
 
 

共鳴雑音の正体


前提として大事なことのひとつは「音」イコール「振動」ということ。
 
そしてもうひとつ大事なことは、全ての物体にはぞれぞれ「固有の振動数」という揺れやすい音の高さがあるということです。
 
例えば「固有の振動数が440Hz」というモノの近くで大きな音で ソ(392Hz)を鳴らしてもそのモノはあまり揺れませんが、固有の振動数と同じラ(440Hz)の音を鳴らすと、小さな音でもその振動でモノは揺れます。これが「共鳴」という現象です。

 

昔「ロックヴォーカリストが声でグラスを割る」という動画が流行りましたが、あれも共鳴を使っています。

 

はじめに指でグラスを弾いて固有振動数を確かめ、その高さの声を出し続けることによりグラスを細かく振るわせて割ります。

 

大声だから割れているわけではなくて、正確な音程でコップが割れるまでロングトーンを出し続けられるところがあの技のすごいところなんです。

 
ピアノに話を戻すと、「共鳴」しただけでは「雑音」にならないのですが、共鳴で揺れたものが硬かったり金属のように音が鳴りやすいもので、他のモノにぶつかっている時に雑音になります。
 
 

何が共鳴しているか


共鳴雑音の場所は大きく分けると2つです。
 
・ピアノ自体の部品
・ピアノのまわりのモノ
 
ピアノ内部のネジなどが原因の場合はセルフで直すのは難しいのですが、まわりのものが原因であれば、ちょっと探してみるとかんたんに解決することもあります
 
 

共鳴雑音の見つけ方


2人で探すと、何が悪さをしているのか見つけやすいのでおすすめです。
 
1人が雑音がする鍵盤を2秒間隔くらいで叩き続けます。
 
もう1人が雑音の聞こえる方向を探し、怪しいモノを軽く手で押さえていきます。
押さえている間だけ雑音が鳴り止むモノがあれば、それが犯人です。
 
部屋の中でよく雑音の原因になっているものは下記のようなものがあります。
 
・シーリングライトのカバー
・電球のソケット
・壁掛け時計
・壁にかけられた絵
・カーテンレール
・コンセントのカバー
・金属製のゴミ箱
・メトロノーム
・フォトフレーム
・ガラス戸のキャビネット
 

 
 

原因を見つけたら...


原因となるモノをどかしたり、緩んだネジを締め直したり、すきまにフェルトを挟んだりして雑音が鳴らなくなれば成功です。
 

場合によっては原因のモノを数センチずらすだけでも鳴らなくなることも。

 

 探し方のコツと裏技


 鍵盤はメゾフォルテくらいの強さでテヌート気味に弾くと雑音を探しやすいです
 
ピアノ自体の音が大きすぎて雑音が聞き取りづらい場合は、アップライトピアノであれば真ん中のペダルで弱音にすると雑音が目立って探しやすくなることがあります。
 

意外と遠い位置のモノだったりすることもあるのでいろいろな場所を探してみてください。

 

まとめ


共鳴雑音はいろいろな条件(モノの微妙な位置、気候、ピアノの音の狂い具合)ですぐに出たり消えたりをくり返しやすい症状です。怪しいモノの目星を付けておいたり、ご自身で対処できると我慢しなくて良いので便利だと思います。
 

調律のときに限って雑音が鳴らなくて、お手上げなことも多いです...

 
トリセツ一覧へ戻る