古いピアノをまた使いたい
眠っているピアノをまた使いたいというご相談はよくあります。
50年以上経ったピアノも多く、買った当初に数回だけ調律をして10年以上弾いていなかったようなケースも。
「はたしてこのピアノは直して使えるのか?」(そしてどのくらい費用がかかるのか)が一番の心配ごとだと思います。
まずは見積もりだけしてもらいたいと言うご相談があるのも納得。
大きくわけて4パターン
もちろん古くても使えるピアノはたくさんあります。中には残念ながら手の施しようのないピアノもあるので、そのピアノがどのケースなのかを見極める必要があります。
A.最低限のメンテナンスで使えるピアノ
調律と掃除、当日できるかんたんな修理・調整で使えるようになるケースです。費用の目安は調律料金+αで3万円以内のイメージです。
B.ある程度手を入れれば使えるピアノ
最低限のメンテナンスに加えて、部品をお預かりするレベルの修理の合計3〜10万円くらいで使えるようになるケースです。
C.大きく手を入れれば使えるピアノ
たくさんの修理が必要なケースです。高額になると予算によっては実質使えない状態とも言えます。複数の項目の修理が必要で合計10万円以上。
D.これ以上つかうのは難しいピアノ
修理不能だったり、故障が多すぎて現実的な予算内ではおさまらないケースです。直せるとしても50万円以上からの予算が必要です。
※オーバーホールで使えるようになるピアノも、新品にせまる価格になることから今回の記事ではこの枠として考えます
実は見積もりだけではわからない
そのピアノがA〜Dのどれに該当するのか?答えは正直なところ、やってみないとわからないです。
事前のお見積もりが有効なケース
「これ以上は絶対にかかる最低料金」を知りたいときには有効です。
使うかどうか迷っているピアノを移動する前などにも。
ただ、交通費などを含めると費用的に調律をするのと変わらない金額になってしまい、コスパが悪いことも。
とにかく調律をしてしまったほうが良いケース
多くの方が当てはまる「このピアノを使うことは決まっているけど古くて心配」と言うピアノは、とにかくまずは一度調律をおすすめします。作業に入る前にはどちらにしても見積もりをしますので、たとえば万が一その時点で直すのが難しい「状態D」なことがわかった場合は見積もりまでで留めておくことができます。
やみくもに直すのが正解とはかぎらない
古いピアノで一番怖いのは、最初から費用をかけてたくさんの大きな修理をした後、すぐに別の重大な故障が起こってすべてがムダになることです。「Cだと思っていたらDだった」ケースですね。
それを避けるためにも、まずは費用があまりかからないけど優先度の高い作業から順番に、様子を見ながらおこなっていきます。
いわゆるコスパの高い作業から。
そういった作業をくり返していくうちに、大きな故障や予算を超えた修理の必要が出なさそうであれば、少しずつメンテナンスの範囲を広げていきます。もし途中で思っていた以上に状態が悪そうであれば、その時点で引き返せるので被害が少なくて済みます。
費用面だけでなく、じっくりと本当の状態をあぶり出していくとそのピアノの問題点もよりはっきりと見えてきますし、ピアノに負担をかけずに良くしていくことができます。